ギフテッド教育ってなに??
皆さんこんばんは、パイオニアランゲッジスクールの廣山です。
ギフテッドと言う言葉を聞かれたことがあるかも知れませんが・・
「ギフテッド」と呼ばれる子どもの支援を検討する文科省の有識者会議の結果が最近公表されました。(2021.11.1)。
今回は、このことに触れてみたいと思います。
「0歳10カ月で日本語と英語で会話できる」
「5歳で地球温暖化を理解し海面上昇におびえる」
「6歳でイスラエルとパレスチナの対立はなぜかと思い歴史を学んでいる」
「宇宙や鉱物などの図鑑を細部まで読み内容を覚えた」・・・等、
ギフテッドとは生まれつき特定分野で顕著に優れた能力を持った子どものこと。
アメリカ教育省は「ギフテッドとは、同世代の子供と比較して、突出した知性と精神性を兼ね備えた子供のことである。」と1993年に定義しています。
有識者会議では980件の事例が寄せられ、多様な才能が紹介される一方、
「教科書の内容をすべて理解したが、自分のレベルに合わせた勉強が許されず、叱られ、授業中は暇をもてあました」や、
「発言すると授業の雰囲気を壊すので分からないふりをしなければならない」、
「習っていない解法を回答すると×にされることが嫌だった」等、学校になじめず不登校になる報告もあったようです。
ギフテッドの子どもたちの特徴と、ギフテッド教育の特徴
英語の「gift」には「天から贈られたかのような特別な才能・能力」という意味があります。
上位2%となるIQ130以上(目安)のギフテッドの子どもたちは、日本では約250万人いると言われ、
顕著に高い能力(学習能力が高い、思考能力が高い、好奇心旺盛、完璧主義など)を持つ彼らは、
適切なサポートを受けることでその才能をさらに開花させることができます。
ギフテッド教育は「英才児教育」や「エリート教育」とは根本的に異なり、
それはギフテッドの子どもたちのサポートであり、2つの側面があります。
1つは、ギフテッドの子どもたちの才能を適切に伸ばすこと。
もう1つは、才能ゆえに直面する問題を適切に認識しサポートすることです。
ギフテッドは、なんでも上手にできるオールラウンダーではなく、
むしろ一つのことに執着・熱中するあまり、
通常期待される社交性の欠如や、得意分野以外のスキルを身につけるのが遅れてしまうことがあります。
外国でのギフテッド教育取り組み
アメリカでは、ギフテッド教育は障害児教育と並ぶ特別支援の教育施策となっており、
公立校や私立校、ホームスクールで受けられます。
公立学校には、「エンリッチメント方式」「プルアウト方式」「アクセルレイト方式」等があり、
エリートを育てるための英才教育ではなく、才能の可能性を最大限に伸ばすことを目的とした教育が行われています。
シンガポールでは、才能のある人を助け育てるのは国の利益になると考えられており、
教育省を中心にGEP(Gifted Education Program)に取り組んでいます。
日本のギフテッド教育の現状
日本では、東京渋谷区が公教育としては初のギフテッド教育に取り組んでいます。
しかし、自分の子どもにギフテッドの可能性を感じても、適切な教育を受けられる機会が少ない状況です。
ギフテッドに関して理解がなく、横並び教育が原因で不調をきたすギフテッドの子どももいます。
ギフテッドの子どもたちは、能力を発揮できず、学習欲求を抑えられてしまうような環境にストレスを感じます。
担任の理解のない対応やクラスメイトとの関係に悩み、自分の能力を隠すようになる子や、
不登校になるギフテッドの子どもは少なくありません。
また、子どもの突出した能力に戸惑う親も多いようです。
個性よりも平均主義、平等主義を優先する日本では、海外のようなギフテッド教育を実施するには、
まだまだ時間がかかると言われています。
まずは、それぞれの学校や教師が、ギフテッドについて勉強し理解を深めること、
学校と家庭が情報を共有しながら、ギフテッドの子どもに合った学習環境を用意することが重要だとされています。