隣人(となりびと)を愛すること～コミュニケーションの原点

皆さんこんばんは、パイオニアランゲッジスクール学童スタッフの南雲　恵理子です。

短大を卒業後、国際協力NGOに就職しました。3年ほどたった夏、支援者の方々と共に、
フィリピンの活動地域を訪問することになりました。
フィリピンは私にとって、日本以外の最初のアジアの国となりました。

空港について最初に向かったのは、マニラ郊外にあったゴミ集積所、スモーキーマウンテンでした。
ゴミが自然発火し、常に煙が立ち上っていることが、この名前の由来です。
集積所に近づいていることは、その匂いや空気で感じることが出来ました。
情けないことに私は、スモーキーマウンテンに向かっている途中でのどを痛め、声が半分ほどしか出なくなりました。
この環境の中で生活する過酷さを思いました。

人々はゴミの中からビニールや缶など、リサイクル業者が買い取ってくれる物を探し集めます。
親は子どもたちのため、上の子たちは妹や弟のために、強烈な日差しや悪臭、命の危険もある中で、懸命に働いていました。

少し離れた所に、所属していた団体が運営する、子どものための職業訓練所がありました。
ゴミ拾い以外の仕事で収入を得ることが出来るよう、色々な取り組みが行われていました。
施設に入るとちょうどおやつの時間で、子どもたちにレモネードが配られていました。

1人の少年が私に近づいてきて、手に持っていたコップを差し出してくれました。
それは、彼にとっては、今日のおやつのすべてです。
それを惜しげもなく差し出してくれた少年の心に、私は深く打たれました。

家族のため、兄弟姉妹のため、また見ず知らずの外国人のため、
持っている力、手に入れたお金、食べ物、飲み物を分かち合って生きている人々。
「この人たちにはかなわない…」私はそう思いました。
また同時に、自分の心にあった日本人としてのおごり高ぶりにも気づかされ、
「自分は何を学んできたのだろう…」と、深く思わされた出来事でした。

世界のベストセラーである聖書には、次のような言葉があります。
「あなたの隣人を自分自身のように愛しなさい。」
この「自分自身のように愛しなさい」という意味は、原語から解釈すると、
「あなたと同じ立場にある人間として愛しなさい」という意味があるそうです。
人種や言語、経歴、また何をしているかなど、一切のことをまずおいて、
自分と同じ人間として、相手を敬い、大切にすること…と言えるかもしれません。
これは、人と人、親と子など、人間同士のコミュニケーションの原点であり、最も大切なことではないでしょうか。

私はそれを、スモーキーマウンテンで暮らしていた人々から教えて頂いたように思っています。